人生が変わる料理道具

監修:飯田結太
編集:エイ出版社編集部
浅草・かっぱ橋に店舗を構える老舗料理道具店の「飯田屋」さん。インターネットで手に入らない物を探す方が難しい現代で、実店舗での価値を追い求め、「時代に逆行することで“最先端”を行く。」とあります。本著は、「手にすべき道具リストの決定版」という書籍ではございますが、その前提にあるリアル店舗としての「飯田屋」さんの在り方そのものが、コロナ禍で揺れる今、心に大きく響きます。
「もの」は「もの」。そこに作り手や売り手、関わる人の想いが宿るからこそ、「もの」は「もの」を超えて届くものだと思います。
冒頭の「4つの“飯田屋ism”」
①対面至上主義(お客様の要望やライフスタイルを直接取り入れた提案、信頼関係)
②過剰在庫万歳(すべての人にフィットする商品はないが、その人に丁度良い商品はある)
③全方位リスペクト(作り手から問屋、売場へと繋がる価値)
④みんなが飯田屋(想いや知識を全スタッフに同レベルで共有)
この4点には、全ての仕事に通ずる考え方が貫かれています。「売ることを目的とするのではなく、喜ばせることを目的とする」。そこに大きな価値があると、私自身も強く思います。
前置きが長くなりましたが、本著は「手にすべき道具リストの決定版」です。「神ツール10」から、「下ごしらえ」「切る・断つ」「調理」「仕上げ」「保存」というカテゴリー別に160点以上の料理道具が、大きな写真と痛快なPOP、読み易い紹介文、そして手で持った際のサイズ感が一目でわかる写真も加わって、最後まで飽きさせません。きっと欲しいアイテム、試してみたいアイテムが見つかり、料理の楽しみが拡がることと思います。
道具を愛することは、作られるものへ宿り、その先の届ける人へ伝わっていくものと思います。高い、安いではなく、自分で選び楽しむことの尊さを改めて教えてくれる一冊でもあります。浅草へと赴かれた際はぜひ、店舗へ足を運ばれることをオススメ致します。
(私は、熱伝導率の高い純銅で作られた玉子焼器で、玉子焼きを作りたいです)

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『CENTRE』は新栄の新しい本屋です。ひとりひとりの変革を支えることをテーマに、「もっと知りたい、もっと学びたい」という知的好奇心を刺激する書籍が、併設のカフェと共にお楽しみいただけます。