アイデアのつくり方

著:ジェームス W.ヤング
訳:今井茂雄

アイデアというと、空から降ってくるとか、閃きであるとか、ゼロから1を生み出すとか、そういったイメージもあるかもしれませんね。本著では、アイデアとはふわっとした概念的な性質ではなく、一定の明確な生成過程があり、それを修練することで使いこなすことが可能だと記されています。

「商品」や「もの」、「場所」そのもの価値に対する人間の捉え方が変化している現代で、価値とはそこに内在する幾重にも折り重なった工夫が層となって心に届くものだと感じています。多くの要素を様々な角度から知り、自分なりに解釈したものを、一度寝かせて、自分なりに組み合わせて、形にしてみて、育ててみる。一連の過程を修練する。それこそが本書で示すアイデアです。多くのものを見て、各断片をパズルのように組み合わせること、その可能性を楽しんで、夢中になってできることがとても重要です。

個人的には、要素をインプットし、その意味を感じ取った後の「一度寝かせる」という行為に、ぎゅうぎゅうに詰め込みがちな現代人としての重要な価値変換があると思っています。しっかりと物事について考えたあと、「しっかりと寝る」「散歩をする」「映画を観る」「音楽を聴く」など、自らを日向に干すような、やわらいだ状況に自分を置くことで、その後の「組み合わせ」の行程がより人間らしくなり、さらに楽しみが増すことでしょう。

初版が1940年と云われる本著、その人間の本質的なフレームワークは、様々なお仕事に就かれている皆様の業務の生成過程にも、多くの影響を与えていくことと思います。

「60分で読めるけれど、一生あなたを離さない本」という広告に、偽りなし。
未読の方はぜひ、お読みいただければと思います。

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