ラッキーマン 何者でもない僕が、何者かになる物語 / 若山 陽一郎

不用品回収事業やリサイクルインテリアショップ事業を展開する株式会社和愛グループ代表の若山陽一郎さん、「あげまん講座」などの講演などでも大活躍されている彼の、少年期から現在に至るまでの挫折と奮起、出会いと導きに満ちた半生を、前向きで丁寧、且つ読み手に語りかけるように綴った本著。

「自分は○○になるんだ!」「○○で活躍するんだ!」という願望のその先で、自分に待ち受ける状況といかに向き合うか。思い通りにはいかない現実とどう向き合うか。若山さんは、自らの状況に嘆き戸惑いながらも、様々な場面での出会いを敏感に受け止め、持ち前のやわらかなコミュニケーションで自らの行動の変革に結びつけていきます。

自らの考えや夢、自分に起きたことなど、「自分のこと」を人に素直に話すことができる若山さんの表現力、「嘘をつくな」という助言に対して、自分の気持ちとの関係性を振り返ることのできる自省心、何より、過去は過去として大切に持ちながら、その行動がとても軽やかなところは、足取りが重くなりがちな大人には大きく響くことと思います。

「出会いを大切にする」ということは、私たち皆が心の中に持っていることだと思いますが、それを極限まで高めた若山さんの、ラッキーがラッキーで済まない縁と愛が生み出す物語に、さわやかな感動を感じます。

「何者でもない僕が、何者かになる」という言葉は、特別な表現に聞こえますが、他者や社会・金銭などの目線や評価での「何者」から、自分を認めて自分らしく歩み出した「何者」への変化と捉えると、私たちの人生もこの瞬間から変わり始めると思わせてくれます。

コロナ禍によって「人と出会う」こと自体が変容していく昨今ですが、若い方にもぜひ感じていただきたい大切なエッセンスの詰まった1冊です。

CENTRE ■新栄の本屋+カフェ■

『CENTRE』は新栄の新しい本屋です。ひとりひとりの変革を支えることをテーマに、「もっと知りたい、もっと学びたい」という知的好奇心を刺激する書籍が、併設のカフェと共にお楽しみいただけます。