【書籍レビュー】ヴィランティ牧野祝子 / 国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック

ヴィランティ牧野祝子(著

国際エグゼクティブコーチが教える 人、組織が劇的に変わる ポジティブフィードバック


組織の中でかつて典型だったのは、「できていないことを指摘し、正す」フィードバックでした。著者ヴィランティ 牧野祝子さんは、その流れを見つめ直します。部下が報告・相談しなくなる、動きが鈍くなる、そんな変化を感じるリーダーは少なくありません。

本書が掲げるのは、ネガティブな指摘中心の対話を、肯定的な強みにフォーカスした「ポジティブフィードバック」へとシフトすること。少しの言葉、少しの承認が、動きを生み出す空気を作ると著者は語ります。


本書によれば、ポジティブフィードバックの効果を高めるためには、承認の軸に注意を払うことが重要です。結果承認・行為承認・存在承認・可能性承認。これらを意識し、部下の動き・存在・将来にメッセージを向けることで、「認められている」という安心と、「次に挑戦できる」という意欲が生まれます。また、単発ではなく「短いスパンで定期的に」「行動直後に」「日常の中で」行う習慣化の重要性が繰り返し説かれています。


このフィードバックの手法は、ただ部下を動かすためだけでなく、組織文化を変える力を持ちます。著者が語る「週5分、部下のやる気を引き出す伝え方」という提案は、評価制度の枠を超えて、日々の対話そのものを変えるものです。

読了後に残るのは「承認は贈るものではなく、場を育てるものだ」という覚悟。そして、承認によって活性化されたフィードバックの循環が、信頼を媒介に成長をつくるという実感です。


「自分が最近承認された言葉は何か」「誰かに承認を伝えたことはあるか」――

自分に問いかける時間をつくることで、承認の習慣が意識から行動に移り始めるかもしれません。

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