【書籍レビュー】倉山 満 / 教科書では絶対教えない 偉人たちの日本史

倉山 満(著

教科書では絶対教えない 偉人たちの日本史


私たちは、学校で学ぶ「日本史」の流れを、どうしても一つの物語として受け止めてしまいがちです。しかし、倉山さんはこの本であえて「教科書では語られない」偉人たち28人を取り上げ、歴史の“裏側”に光を当てます。

「どうしてこの人が評価されたのか」「どんな場面で判断を下したのか」「当時の常識や制度をどう動かしたのか」――。それらに触れることで、歴史を“受け身で学ぶ”のではなく、“自ら問いながら読む”意識が芽生えます。


本書に登場する偉人たちは、ただ「名を成した人」ではありません。

王や将軍、政治家、思想家、科学者――それぞれが変動期の中で、先を見据え、行動し、制度や人を動かしました。

その核心にあるのは、三つの姿勢です:

1)観察すること:時代の潮流や他国の制度を見逃さず、自らの環境を把握する。

2)学ぶこと:単なる知識吸収に終わらず、「自分の言葉・視点」として再構成する。

3)実践すること:制度を作り、場を変え、人を動かす。知っただけで終わらない。

これらの姿勢こそが、「教科書では絶対教えない」理由でもあります。知識だけではない、実践の軌跡だからこそ語られるべきものなのです。


「私たちの時代」もまた、激しい変化と混沌の中にあります。そんな中で、倉山さんの描く偉人たちの姿から、重要な問いが浮かびます。

私は、ただ流れに従って生きていないか?

目の前の出来事を観察し、自分なりの言葉で捉えているか?

学びをどこまで自分ごとにして、「行動」に移しているか?

歴史とは“過去”ではなく、“今を生きる私”とつながるものです。28人の実践者たちは、制度や常識の中にあっても、自らを変え、周囲を変える選択をしました。

この本を読み終えたあと、読者はふとこう感じるかもしれません――「歴史を知るとは、自分の人生を問い直すことだ」と。


「自分が最近観察したこと」「学び直したいと思ったこと」「次に行動に移せそうなこと」――

その小さな問いを書き留めることで、歴史の扉は“外の世界”ではなく“自分自身”へと開いていきます。学びを、ただ積むのではなく、動かすために。

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