稲盛和夫の実学―経営と会計

著:稲盛和夫
前回からの「CENTREの本棚」では、以前ご掲載いただいた「HIROBA!」 @hiroba_magazine 様で新社会人の方々へ向けて紹介させていただいた5冊の紹介を、加筆してお届けいたします。
4冊目は、「稲盛和夫の実学―経営と会計」です。京セラ創業者であり、日本航空の名誉会長である稲盛和夫氏の、経営哲学と会計学をその思想と実践で見事に融合し、「経営のための会計」として見事に体系化された一冊です。
まえがきには「真剣に経営に取り組もうとするなら、経営に関する数字は、すべていかなる操作も加えられない経営の実態をあらわす唯一の真実を示すものでなければならない。」とあります。会計について何も知らなかったと語る当時から、経営のために会計を学び、理解・納得できるまで追求した上で導きだされており、さらに後進のための整理が成されています。物事の本質を追求し、会計上でも人として原理原則を貫く姿勢を、背筋を伸ばして学ぶことができます。
第一章の「キャッシュベースで経営する」は、会計に立ちはだかる最初の壁として存在していると思います。近代の経営にとって、全ての取引が現金取引でない限り、現預金の残高と会計上の利益は一致しません。これがなぜ起こるのかを、『「バナナの叩き売り」でその違いを見る』で解説されているのですが、現預金と利益の間に介在する何かを理解し、「キャッシュベースで経営する」を組織の中に組み込むことが、とても大切なことだと伝わるはずです。中小企業であれば尚更です。
企業運営のかたちは時代の変化に伴って変化していますが、会計が経営のために存在しているのは間違いありません。本著は経営者や経理担当者だけに向けられた話ではなく、事業部やプロジェクト、部署、ひいてはひとりひとりの意識の中に、「会計を無視して仕事ができるか」という意識を持たせるには十分な熱量がこもったマスターピースです。
私たちは「後進」としてその知見を得て、さらに大きく突き進みましょう。
『新社会人に読んでほしいおすすめの本』5冊 | HIROBA!
https://hiroba-magazine.com/2021/03/15/hondana-11/

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