【書籍入荷】客観性の落とし穴
客観性の落とし穴
村上 靖彦 (著)
大阪大学教授の村上靖彦氏による現象学的な視点から現代社会を批評した一冊。
本書の核心は、デジタル化やエビデンス主義によって「客観性=数値化=真理」という一元的な価値観が支配する時代への問い直しにあります。
著者は医療現場や貧困地域での実地調査を通じて、数値では測れない個人の経験や語りの意味を主張しています。学生から「先生の研究に客観的妥当性はあるのか」と問われたことがきっかけとなった本書では、統計データやエビデンスに依存する思考が、実は人間の個別性や多様な価値観を見落としてしまう危険性を指摘しています。
本書の構成は、客観性がいかにして現代の真理となったか、社会と心がどのように「モノ化」されたか、数字が支配する世界の構造、競争原理への依存などを段階的に検討していきます。その上で、経験を言葉で表現することの重要性や、現象学的アプローチの倫理性を提唱しています。
結論として、本書は客観性そのものを否定するのではなく、客観的データから零れ落ちる人間の尊厳や個別経験こそが、本来は大切にされるべきではないかという問題提起を行っています。高校生から大人まで、現代社会の在り方に違和感を覚える読者に向けた、思考のあり方を問い直す一冊です。
(by Rufus)
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