『カトマンズに飛ばされて 旅嫌いな僕のアジア10ヶ国激闘日記』
著:古舘佑太郎
ミュージシャン・俳優の古舘佑太郎さんが32歳でバンド解散後、身も心も空っぽになった彼に、先輩であるサカナクションの山口一郎氏がカトマンズ行きを命じたことで始まった、東南アジア放浪の61日間の記録。
自らを、「温室育ちのボンクラ」「度を越した神経質」「極端な潔癖症」「異常なまでのせっかち」「臆病者で虫さえも触れない」と称する彼が体験した異国・異文化のカオスと、空っぽの彼の中で生まれていく感情遷移が、豊かな情景描写と語り口でテンポよく綴られています。
その旅の内容は、掻い摘むのももったいないくらい面白いです。ぜひ本著をお読みください。
古舘さんのあとがきに、「各地で価値観が転覆するような光景や出来事に直面し、新しい自分を得たのも事実。しかし、その激動の中で、僕はどうしようもなく変わらない自分も見つけていた。」と書かれていました。
変わらない自分を見つめ、受け入れ、好きになったことで、彼は新しい自分になったのかもしれませんね。
自分と隔たりのある他者、環境、場所、もの、表現などとの接触によって、より自己がクリアに客観的に浮き出ることは、人生に於いてよくあることだと思います。自分が思う自分と、他者が思う自分、その隔たりを理解し、受け入れ、大きな枠組みで自分を認識することで、より社会性をもった自分に近づくのではと私は思っています。本著を読んで、そんなことを考えました。
テクノロジーの発達によってその場にいながら様々な体験ができる現代で、物理的な移動はより価値を持つことになったと思います。
皆様は、まだ見ぬ場所へ移動、してますか?
CENTREは2023年9月に、解散前の古舘さんのバンド「THE 2」にトークイベントの会場としてご利用いただいており、少しでもこの御恩をお返しできればと思います。今回の出版に合わせ、版元の幻冬舎様から古舘さん直筆のPOPをいただいております。ぜひ本棚でご確認くださいませ。
今回の旅と出版をきっかけに、古舘さんは確実に新しいステージに向かわれると思います。今後の彼の表現を、私も新しい気持ちで楽しみたいと思います。
ぜひご一読ください。
CENTRE代表
中村恭平
古舘佑太郎(ふるたちゆうたろう)
ミュージシャン・俳優
1991年4月5日生まれ。東京都出身。2008年、バンド「The SALOVERS」を結成し、ボーカル・ギターとして活動スタート。2015年3月、同バンドの無期限活動休止後、ソロ活動を開始。2017年3月、新たなバンド「2」を結成。2021年6月に活動休止し、2022年2月22日にバンド名を「THE 2」に改め再開。2024年2月22日に解散。
俳優としては、2014年、映画『日々ロック』でデビュー。以降、NHK連続テレビ小説『ひよっこ』、NHK大河ドラマ『光る君へ』、映画『ナラタージュ』などの出演。主演映画に『いちごの唄』『アイムクレイジー』などがある。
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