【書籍レビュー】時田ひさ子 / かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方
時田ひさ子(著
『かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方』
好奇心は強いのに、「これだ」と思える“やりたいこと”に辿り着けない――。そんな葛藤を抱える人に向けて、本書は静かな寄り添いとともに道を示すガイドです。著者の 時田ひさ子 さんは、HSS型HSP(外向性・刺激追求性を持ちながらも感受性が強い性質=「かくれ繊細さん」)を専門とする心理カウンセラーで、自身もこの特性を抱えながら臨床・理論を重ねてきた背景があります。
〇 「かくれ繊細さん」とは何か
本書の前半は、「かくれ繊細さん」の定義と特徴を丁寧に描いています。外見上は活発で社交的、好奇心旺盛に見えるけれど、内面には敏感さや疲れやすさを秘めている。この相反する気質が混じるがために、「自分って何がしたいの?」という迷いを生みがちなのです。
また、本書では “10の才能” という視点で、その性質がマイナスではなく、ユニークな強みになり得る可能性が語られています。たとえば「気遣い」「本質を見抜く力」「全体を整える力」など、目立たないが仕事・人間関係で光る資質が並びます。
〇 やりたいことの見つけ方とステップ
中盤では、「いい人モード」「思考モード」に分けて、自分を抑えてきたフェーズを解きほぐすプロセスが解説されます。本書は、やりたいことが「外から得るもの」ではなく、「自分の中にあるもの」を発掘する作業として位置づけています。
たとえば、「期待に応えようとする自分」「他人の評価に振り回される自分」を客観視するワークや、自分の内なる声に耳を澄ませる方法が示されます。さらに、行動に移す際の実践的なコツ(環境設計、自分の扱い方の工夫、ゆるやかなステップ)も提示され、単なる理論にとどまりません。
〇 生きづらさの解消と自己肯定
本書は、「変える」ではなく「活かす」方向で繊細さと付き合うことを重視します。感受性や怒り、不安を否定せず、それらを自分の一部として受け入れること。そのうえで“無意味な自己否定”の連鎖を止め、過度な比較や焦りを手放すための心構えを丁寧に教えてくれます。
著者の実践者としての言葉も響きます。「やりたいこと」に没頭できる覚悟と態勢を整えたとき、初めてその本質的な喜びを味わえる――そんな励ましが多くの読者の背中を押しているようです。
この本は、ただの自己啓発書ではありません。問いかけと旅のガイドであり、自分の感性と対話できる小さな地図です。読後は、好きなことや情熱を“無理なく育てる道”を見つけられるかもしれません。
もしあなたが、
好きなことがたくさんあって絞れない
続けたいけどうまく踏み出せない
他人の目や期待に押しつぶされそうになる
そんな自分へのヒントを求めているなら、この本は暖かな灯火になるでしょう。
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