【書籍レビュー】芝山 大補 / おもろい話し方 芸人だけが知っているウケる会話の法則

芝山 大補(著

おもろい話し方 芸人だけが知っているウケる会話の法則


人と話すことは、誰もが毎日しているのに、なぜか上手くいかないことがあります。

沈黙が怖い。話が続かない。ウケを狙ってすべる。

そんなとき、「自分には話の才能がない」と落ち込む人もいるでしょう。

本書『おもろい話し方』は、芸人300組以上のネタ制作に関わってきた著者が、会話を「センスではなく技術」として紐解く一冊です。

彼は芸人の世界で磨かれた話術の裏側に、“笑いの論理”があることを知っています。

それを一般の人が日常で使えるように翻訳したのが、本著です。


芝山さんの語りは軽妙ですが、内容はきわめて実践的です。

「おもしろい人」は生まれつきではなく、「構成」と「観察」で作られる。

たとえば、“話の入口を整える”“相手の反応を拾う”“緩急で流れをつくる”といった一連の流れは、会話を“即興の舞台”として捉える考え方に通じます。

それはつまり、「会話は小さな表現行為である」ということ。

本書を読むと、日常の会話がほんの少し違って見えてきます。

単なる情報のやりとりではなく、相手と一緒に“場”をつくるクリエイティブな行為だという感覚。

そう思えた瞬間から、沈黙も失敗も恐れる必要がなくなるのです。


理論と感性のバランスが絶妙で、心理学でもなく自己啓発でもない。

本書の核心は「人と人が通じ合う瞬間」をどうデザインするか、という問いです。

だからこそ、読後に残るのはテクニックではなく、「話したい」「聴きたい」という素朴な意欲。

ページを閉じるころには、“うまく話そう”ではなく“楽しく伝えよう”と思えるようになっているはずです。



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